馬場達さんという人がいました
余市教会のメンバーであった馬場達(ばばさとし)さんが、1月23日に天に召されました。82才でした。馬場さんはクリスチャンでしたので、牧師として、わたしがお葬式を行いました。
2016年末のある日、馬場さんは、自分の命の終わりが近くなってきたと感じたのでしょう。わたしに「病院に来てほしい、話がしたい」と言われました。病院に行ってみると、「自分のお葬式はこの讃美歌を歌ってほしい。笑顔のあふれるお葬式にしてほしい。」というお話をされました。
その言葉通り、笑顔があふれるお葬式になったと思います。
馬場さんは、北星学園余市高等学校の3代目の校長として、1965年から草創期の北星余市を支え、一人一人を大切にし、徹底的に向き合うという教育の土台をつくったリーダーの一人です。 ご家族も同僚の先生たちの誰もが口をそろえて話す馬場さんのエピソードがあります。馬場さんは歩いている時、目の前に水たまりがあってもよけないのです。もちろん、靴はビチャビチャになり、ドロドロになります。それでも馬場さんは気にしないのです。それだけ、馬場さんという人は、こうだと思ったらまっすぐに突き進む人でした。その人柄によって、北星余市の教育の土台が築かれていったと言っても、言い過ぎではありません。
北星余市を退職してからは、余市教会の教会学校の校長として、リタ幼稚園の運営委員としての働きを担ってくださいました。リタ幼稚園には5名の運営委員がいます。皆さんは、会われたことがないかもしれませんが、幼稚園の運営委員の一人として馬場さんはいつも陰ながらリタ幼稚園を支えてくださっていました。いつも、リタ幼稚園に来ている子どもたちや保護者の皆さんのために心を砕き、入院しながらも、幼稚園のためにお祈りしてくださっていました。
馬場さんは長い間、教育に携わり、「教育」が「平和」とは切り離せないと考えてきました。それは、馬場さんは小さい頃、「軍国少年」として戦争時代を生き、日本が戦争に負けるという歴史を経験したからです。そして、戦争のあと、二度と日本は戦争をしないと誓った日本国憲法に出会ったからです。人は教育によって戦争に駆り立てられ、協力する気持ちにさせられるし、反対に平和を作り出す思いを育てられるのも教育だということを身をもって体験したのです。
馬場さんは、子どもたちが希望をもって、幸せに未来を生きることができるようにと願っておられました。そして自分の幸せだけではなく、人の幸せも考えられる人になってほしいという願いを持っておられました。そうした人がわたしたちの幼稚園の運営委員をしてくださり、陰ながら支えてくださっていたことを皆さんの心にとめていただけたら嬉しいです。