園長日記

真剣なクリスマス

 

クリスマスは、イエス・キリストが誕生したことを祝う時です。
イエス・キリストが生まれた時のことを劇にしたのが、たんぽぽ組の子どもたちが中心になって演じたページェントです。クリスマス会の時にお話をしましたが、ページェントの取り組みを進める中で、何度もわたしが子どもたちに伝えてきた3つのことがありました。
 ①ページェントは本当に真剣にやってほしい。
 ②それぞれの役がどんな気持ちだったかを考えてほしい。
 ③どの役も大切な役だから、自分が希望した役ではない役になっても、大切に演じてほしい。
わたしが子どもたちにこの3つのことを伝えた理由は、聖書の中に書かれたイエス誕生の物語と深く関係しています。

聖書を読んでいますと、イエスを取り巻く環境はけっこう厳しいものであったことがわかります。そもそも、イエスの母マリアと父ヨセフは結婚の約束をしていましたが、まだしていませんでした。結婚していないマリアが子どもを身ごもるということは当時の社会では許されないことでした。しかもそうした中で、物語の舞台であるユダヤの国を支配していたローマ皇帝から人口調査をするために自分の生まれた町に帰れという命令が出されたのです。ヨセフは、マリアとお腹の中の子どもと一緒に生まれ故郷であるナザレの小さな町ベツレヘムに帰えるために旅をすることになりました。マリアがイエスを生んだのは、あたたかい家の中ではなく、馬小屋でした。
実は、この物語には続きがあります。ユダヤの国の領主であったヘロデ王が新しい王様=イエスが生まれたという噂を聞きつけて、探し出して殺そうとしたのです。そのことを知ったマリアとヨセフはエジプトの国へと逃げました。喜びにあふれているはずのクリスマスとはほど遠く感じる物語が聖書には書かれています。マリアとヨセフは大変な社会の状況の中に身をおいて、それでもイエスを育て守っていこうと決意したのです。

「3人の博士たち」も赤ちゃんのイエスを拝みに来るために自分の一番大切な宝物を携えて、命をかけて、「星」に導かれて遠い東の国から旅をしてきました。「羊飼いたち」は、当時嫌われていた職業だったのですが、天使からイエスが生まれたことを聞いて、その出来事を真剣に受け止めてイエスに会いにいきました。「宿屋」もその時の精いっぱいの対応をしました。「天使たち」もこの世界の救い主が生まれるという重大な話を羊飼いやマリアに伝える大切な役目を担いました。

登場人物たちは、みんな真剣に懸命に生きていたのです。だから、子どもたちに、ページェントは「役の気持ちを考えて、真剣に大切にしてほしい」とわたしは伝えました。その思いをしっかりと受け止めて、子どもたちはページェントに取り組んでいました。その子どもたちの姿に成長とこの世界の希望をわたしは感じています。

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