園長日記

私の居場所

 

知っているはずなんだけれど、まったく別の場所に感じる。そんな体験をすることがあります。例えば、学生時代にクラス替えをして新しい教室に入ったとき。去年まで自分のクラスだった教室に行ってみて、別の学年の人がいるとき。私の場合、仕事柄、教会もそうです。前任地の教会に仕事や休暇の折に訪ねても、そこは「知っているはずなんだけれど、もはや別の場所」に感じます。引っ越しの時もそうです。今まで暮らしていた家から家具が一切なくなった時。数時間前まで生活の気配があったのに、がらんとしたその空間はもう別の場所。「私だけ」が存在していればいいのではないのです。友人や、一緒に生活をした人々、家具など。様々な存在に囲まれて初めてそこは「私の居場所」なんだと思います。

連休中の静かな幼稚園はまるで別の場所に感じます。その中でふと気がつかされたのは、幼稚園はただ建物があれば成り立つというものではないんだ、ということでした。

当たり前のことかもしれませんが、幼稚園に来てくれる子どもたち、送り出してくださる保護者の方々、教職員一人ひとり。教会や地域の方々・・・。そんな、かけがえのないお一人おひとりによって初めてこの場所が、楽しんだり、喜んだり、時に安心して涙を流せたり、生き生きといのちを輝かせることのできる場所として成り立つのだと。そんなふうに思いを新たにさせられました。

連休が終わって、幼稚園にはたくさんの声が響いています。新しい月も、一日一日を大切にして、子どもたちが安心して「自分の居場所」なんだと感じることができるように、励んでいきたいと思います。

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