あるNG集から考えたこと
『ピタゴラスイッチ』という番組がNHKで放送されています。その中で、「ピタゴラ装置」と呼ばれる装置が登場します。これは身の回りにあるものでつくられた手の込んだ仕掛けのドミノのようなものです。連鎖的に色々な仕掛けが作動し、最後には番組名の頭文字である「ピ」という字が書いてある旗が立ったりします。
私はこの番組を欠かさず見ているというわけではないのですが、テレビで目にした時は、その発想の豊かさや仕組みの面白さにいつも見入ってしまいます。
ある時、この『ピタゴラスイッチ』の番組内で「ピタゴラ装置」のNG集が放送されていました。つまり、仕掛けがうまくいかなかった様子が紹介されていたわけです。これを観た時に、私は「あぁそうか。自分はいつも成功したシーンばかりを目にしていたんだな」そして、「その裏側には、数え切れない失敗や、製作者の苦労や葛藤があるんだなぁ」と思いました。「普段はうまくいった場面しか放送されない・それもいつもいつも一発でうまくいくわけがない」。この当たり前に思えることを、NG集を通して気がつかされたのです。そして失敗したことを紹介できるということはすごいことだなぁと思いました。失敗に向き合いながらの日々がそこにはあるんです。
私たちの人生もそうかもしれません。一回でうまくいくこともあるかもしれませんが、そうではないことも多いのではないでしょうか。生きていく上で、何度も何度も失敗を重ねたり葛藤を抱えざるをえません。けれども、そのままでは終わらずに、工夫をしたり誰かの助けを借りたり、そうやって少しずつかもしれないけれど、「もう一度」取り組んでいこうとするときに、人は確かに成長していくことができるのではないか。そして、私はそういう営みの中に本当の豊かさがあるのではないかと思うのです。
幼稚園での生活を通して、つまり遊びの中で、お友達との関わりの中で、うまくいかないことがあっても、「もう一度やってみよう!」という心を育んでいくことができればと願っています。
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