園長日記

独りぼっちで幸せにならない

 

先月、リタ幼稚園に岩城敏之さんが来てくれました。京都の宇治市で「キッズいわきぱふ」という絵本と木のおもちゃのお店をしておられる方です。おもちゃとこどもの育ちについて研究され、絵本の翻訳なども手掛けておられます。さらには、全国各地を飛び回り、子育てについての講演を続けておられる方です。

そんな岩城さんのお話を聞いて印象に残った言葉があります。岩城さんはこの日本という国は海の幸、山の幸はあるけれども資源が乏しい国であること。それゆえにこの国の宝は「人・人材」なのだということをお話しされました。

「今、話を聞いているあなた!大切な人材っていう自覚ありますか~?大丈夫ですか~?」と岩城さんからの笑いも交えつつも鋭いメッセージに感じました。そして、こどもたちを育てていくことは「未来の大切な人材を育てること」であり、「もれなく、どの子も大切な存在なんです」と話されました。そのために、一人ひとりを「賢い子」に育てて欲しいとおっしゃいました。ただし、岩城さんの言う「賢い子」というのは単に勉強ができて、優秀なこどものことではありません。「生まれたことを喜んで、自分に与えられている力を最大限使い、自分と自分の周りの人を幸せにすることのできる人」を指して「賢い子」と言われたことが非常に印象的でした。

また、日本という国はその資源の貧しさから「独りぼっちでは幸せになれない国」なんだとも岩城さんはおっしゃいました。「独りでは幸せになれない」。自分と出会った人たちがどうやったら幸せに生きていけるかを、考え、行動する。短い時間のお話でしたがとても豊かな時間であり、大切な言葉をたくさんいただいたと感じました。

リタ幼稚園はキリスト教保育を土台として歩んでいます。その根幹には、「あなたがいてくれることが嬉しい」といういのちを受け入れ喜ぶ営みがあります。そして、それは「独り」ではなくて「一緒に」生きて行く心強さやあたたかさ、豊かさを感じる歩みでもあります。

けれども、そのような歩みは簡単ではありません。効率の良さや、数の原理という力によっては、ないがしろにされてしまうことがあるからです。そんな時代だからこそ、私たちは学びを深め、こどもたちが生まれてきたことを、生きていることを喜び合うことができる働きをなしていきたいのです。

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